3D高解像度の拡大視野下で行う精緻な操作が可能となり、 主任外科部長・呼吸器外科部長の都島由紀雄(つしま ゆきお)と申します。これまでに2,000例を超える呼吸器外科手術を執刀してまいりました。原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、血胸、膿胸、胸部外傷、びまん性肺疾患など、多岐にわたる疾患に対し、幅広い術式に対応可能です。 スイスのチューリッヒ大学胸部外科に留学した際には、「気管支形成術の名手」として世界的に知られるWalter Weder教授のもとで、肺移植フェローとして数多くの手術に携わり、現地で国際水準の知識と技術を習得いたしました。こうして得た国際水準の知見と技術は、現在も当科の診療の根幹を成しており、日々の医療においてもその水準を保ち続けています。 2017年4月に私が当院に着任して呼吸器外科を新設して以来、着実に発展を遂げ、これまでに累計2,200例以上の手術実績を重ねてまいりました。2019年には、日本呼吸器外科学会認定「胸腔鏡安全技術認定医」である伊藤祥隆医師が加わり、2名の熟練した専門医による質の高い診療体制を確立しております。 2020年には、最新鋭のda Vinci Xiサージカルシステムを導入し、ロボット支援手術を本格的に開始いたしました。創部を小さく抑えつつ、腫瘍の確実な切除を実現するこの技術は、身体への負担を軽減しつつ治療効果を最大化するうえで、大きな力となっています。私自身、チューリッヒ大学留学時代に既にロボット手術に携わっており、現在は日本呼吸器外科学会および日本内視鏡外科学会が認定するロボット支援手術のプロクター(指導医)資格を有しております。 さらに2023年には、当院が日本胸部外科学会および日本呼吸器外科学会より、呼吸器外科専門研修の基幹施設として認定されました(千葉県内では4施設のみです)。これは、当科の医療水準と教育体制が全国的に高く評価された証です。 「一人ひとりにとって最適な治療を追求し、常に最高水準の医療を提供すること」を理念とし、丁寧な対話を通じてご本人およびご家族との信頼関係を大切にしながら、日々の診療にあたっています。ガイドラインに基づいた標準治療を基本としつつも、豊富な臨床経験と専門的知見に基づき、柔軟で個別性の高い治療方針を構築しております。 健診や他院でのレントゲン・CT検査により胸部異常陰影を指摘された方々からのご相談も、数多くお寄せいただいております。胸部CT検査は、病変の性質や広がりを把握するうえで極めて重要であり、当科では専門医による迅速かつ的確な読影と診断が可能です。肺癌、転移性腫瘍、間質性肺疾患、縦隔腫瘍など、さまざまな疾患に対して、検査から診断、治療までを一貫して受けられる体制を整えております。 ほとんどの手術において、高画質4Kモニターを搭載した胸腔鏡システムを使用し、熟練した専門医が安全かつ確実な手術を行っています。完全胸腔鏡下手術(創部約3cm)、胸腔鏡補助下小開胸併用手術(創部約7cm)、進行例に対する開胸手術、ロボット支援手術など、多様な術式の中から、病態と体力に応じた最適な方法を慎重に選定しております。肺癌に対しては、「完全切除」と「安全性(短時間・少出血)」の両立を基本とし、十分なご説明とご理解のもと、治療方針を決定しています。 当院での肺癌術後入院期間の最頻値は4日間(自然気胸術後は2日間)であり、退院後すぐに社会復帰される方も多くいらっしゃいます。これは、安全性と低侵襲性の双方を重視した当科の手術方針が、多くの患者さんにご満足いただける良い結果につながっているものと考えております。 術後も責任を持って患者さんの回復過程を見守り、再発予防や生活支援を含めた継続的な診療に力を注いでおります。 「ここで手術を受けて本当によかった」と心から思っていただけるよう、スタッフ一同、真心を込めて、最善の医療を提供してまいります。 SHINMATSUDO CHUO GENERAL HOSPITAL ANNUAL REPORT 2025 21 呼吸器外科より
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