胸部、腹部や骨格系のX線撮影を総して一般撮影(レントゲン)と言っています。健康診断のレントゲンなど、みなさまにもなじみの深い検査だと思います。
胸部は主に肺の様子や心臓の大きさを、腹部はおなかのガスの状態や、結石の有無などが撮影の目的になります。骨格系は整形外科領域の骨や関節の撮影が中心となりますが、頭、鼻、耳などの撮影も行われます。
当院はデジタルX線画像システムを採用しています。デジタル画像は画像データを処理することができるため、撮影部位ごとに最適な画像を提供することができます。また、撮影時の被ばく線量を低減することができます。
X線撮影に対して、みなさまは放射線被ばくのことが気にかかると思われますが、一般撮影では大変少ない線量を用いて行っていますので、撮影による身体への影響はありません。
CTは【Computed Tomography】の略で、コンピュータ断層撮影のことをいいます。当院では、2023年11月にキャノン製の64列CTから同メーカーの320列CTにグレードアップし、より短時間、低被ばくで高精細な画像を提供することが可能となりました。身体にX線を複数の方向から照射し、透過したX線を検出器で受け取りコンピュータ処理で体の断層画像(輪切りの状態)を得る検査です。当院のCT装置はより高性能になり、1回転でたくさんの画像を撮ることができることから、短い息止め時間で検査を行うことができます。
0.5mmという細かなスライス厚で画像を収集しますので、数ミリ単位の小さな病変も発見することができます。さらには、従来の「輪切り」といった概念はほとんど消失し、さまざまな断面を容易に得ることができます。
また造影剤を使うことで、頭部や腹部の血管の描出や腫瘍の評価はもちろんのこと、従来のCT装置と比較すると使用する造影剤の量を大幅に低減させることが可能となっています。
当院では画像処理ワークステーションを導入しており、血管や骨、臓器の3D(立体)や4D(動態)画像の提供もしています。視覚的にとらえやすい3D画像は診断する医師や、検査結果をお聞きになる患者さまの説明にも役立っています。
過去のCTに比べて高いパフォーマンスを持つ320列エリアディテクターCTですので、検査を受ける方にとって負担が少なく、より安心して検査を受けていただくことができます。
一方で、CT検査において放射線被ばくは避けて通ることはできませんが、低被ばくで高画質が得られるシステムを採用しています。
Canon製320列CT装置「Aquilion One Nature」
5分~20分程度
撮影部位によっては金属などが撮影の妨げになる場合がありますので、金属の付いた服や下着、貴金属などは外していただくことがあります。検査着の準備もありますが、できるだけ検査しやすい服装でお越しください。
MRIは【Magnetic Resonance
Imaging】の略で、磁気共鳴画像のことをいいます。現在では多くの臨床現場で稼動し、無くてはならない検査になっているMRI。2003年にはMRIの医学におけるその重要性と応用性が認められ、〔核磁気共鳴画像法に関する発見〕に対して
ノーベル生理学・医学賞が与えられました。
MRIのMはマグネット(磁石)なので、大きな筒状の磁石の中に入って検査すると思ってください。MRIは水素原子のNMR(核磁気共鳴)現象を利用して、細胞内の水素原子(水分)の状態を画像にしています。人体は90%が水分なので、水素原子から体内の様子を画像にすることができます。
装置の形状はCTと似ていますが、CTとはまったく異なった画像が出てきます。体に対して断層像を(輪切りの状態に)撮像するのですが、同じ場所を様々な条件で画像にでき病変の性質まで診断することが可能です。
X線を使わないので、放射線による被ばくは一切ありません。X線撮影では骨による影響で画像にノイズが出てしまったりしますが、MRIは骨による影響が少なく、骨に囲まれている頭部の細かな部位も撮像できます。全身どこでも検査可能ですが、特に脳・耳・鼻、脊髄、子宮・卵巣、前立腺、四肢(腱・筋)、皮膚などの軟部組織の診断に有用とされています。
検査に伴う痛みなどはなく、ベッドに寝て撮影を行います。多少、撮影の際の音が大きいですが耳栓代わりにヘッドホンをしていただいています。
CTでは造影剤を用いないと描出しにくい血管も、MRIは造影剤を使用せずに立体的に描出することができ、脳動脈瘤などを調べる脳検診においては欠かせません。必要に応じて造影剤も使用しますが、病変の性質を調べたり、大血管、下肢の血管などより多くの情報を得ることができます。副作用は極めて少ない薬ですのでご安心ください。また急性期の脳梗塞ではCTより早期に病変を抽出することができ、絶大な威力を発揮しています。
PHILIPS社製 『Achieva 1.5T』
20分~60分程度
基本的に手荷物などを持って入ることはできません。MRI検査時には、先に前室にご案内します。前室には鍵付のロッカーがあり、放射線科スタッフと再度、安全確認してから検査室へ入室となります。
カラーコンタクトレンズやお化粧など(マスカラ、アイシャドウ、アイライン、マグネットネイル)も金属成分が含まれている場合があります。熱をもったり画像を乱してしまう場合は、外していただくことがあります。
スムーズな検査を行うために、時計やアクセサリーなど事前に外せるものは外してご準備ください。検査着の準備もありますが、できるだけ検査しやすい服装でお越しください。
マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳房はやわらかい組織でできているため専用のX線撮影装置で撮影します。しこりとして触れることができない早期がん(乳がんなど※)のサインである細かな石灰化を鮮明に写し出せるのが大きな特徴です。立体的な乳房全体が撮影フィルムの中にもれなく写し出されるように、一方の乳房につき2方向の撮影を行います。
乳房は立体的な厚みがあるので、そのまま撮影すると乳腺や脂肪、血管などの重なりで、実際に腫瘍があっても写し出されないことがあります。効果的な圧迫と正しい撮影をするために放射線技師が乳房に直接触れてアクリル板でやや強めに押さえ平たく伸ばします。乳房の病変を見落とすことのないように考案された撮影法で、広く先進諸国で取り入れられており、安全性が確立しています。
撮影の範囲は乳房からわきの下を含めた範囲です。以前に受けた手術や傷跡、いぼ、ほくろや気になる症状がありましたら、お伝えください。より良い撮影と診断に役立ちます。X線検査なので放射線被爆がありますが、乳房だけの部分的で放射線の量も少ないのでご安心ください。
乳房を圧迫するため、乳房がはっている時期は避けたほうがいいでしょう。生理から1週間後、乳房のはりや痛みがなくなりやわらかい状態の時がおすすめです。
当院のマンモグラフィ装置では、鮮明な画像と日本製の撮影装置ならではの日本人の体型にあった負担(痛み)の少ない検査を可能としています。痛みは個人差があるためどうしても我慢が出来ない場合は、担当技師にお伝えください。
FUJIFILM社製 『AMULET Innovality』
15分程度
乳房にある乳腺に発生する悪性腫瘍です。細胞が癌化して増えはじめるとしこりになりますが、初期には食欲が減ったり体調が悪くなるなどの全身症状がほとんどありません。そのまま放置しておくと、乳腺の外にまでがん細胞が増殖し、全身へと広がってしまいます。乳がんは日本女性の壮年層(30歳~64歳)のがん死亡原因のトップとなっています。残念ながら乳がんの予防方法はありませんが、早期なら90%の方が治ります。決して怖い病気ではありません。早期発見のために、自己検診やマンモグラフィなどによる定期検診が大切といわれています。
消化管および血管造影検査等、多目的検査が行えます。X線TV装置はレントゲン写真を動画で見ることができ、透視しながら目的部位の撮影が可能です。通常のX線TV装置を革新的に進歩させ、デジタル撮影を可能にしたことで、これまでより大幅に少ないX線量で、胃・腸・血管などを的確に写し出します。
放射線科では主にバリウムを使った胃、食道、大腸の造影検査や骨折時の整復、カテーテルやチューブの留置などの処置等で活躍しています。
また、この装置では患者さまが動かずに寝台に寝たままで、あらゆる方向からの撮影ができます。そのため寝たきりの方なども安全に処置を受けることができます。
SHIMADZU社製『SONIAL VISION G4』
骨密度とは、単位体積あたりの骨量のことをいい、BMD(Bone Mineral
Density)といいます。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが、骨にどれくらい含まれているかの指標となり、骨密度が減少すると骨が弱くなり骨折しやすくなります。
骨密度の少ない状態を骨粗鬆症といい、骨粗鬆症は男性よりも女性に圧倒的に多いのです。その理由として、骨の主成分であるカルシウム量がもともと女性の方が少なく、カルシウムの摂取量も少ないからといわれています。しかも、女性の場合は更年期(閉経)をむかえると、エストロゲンなど骨を維持する女性ホルモンの低下によって、男性よりも急速に減少してしまう方が多いようです。骨粗鬆症の患者さまは国内で推定1,000万人。しかし実際に治療を受けているのは200万人に過ぎないといわれています。骨の健康維持に関して私たちが無関心になりがちなのは、骨が目には見えなく骨量が減少し始めても自覚症状がないということが原因のようです。
現在、種々の骨量測定法が利用されていますが、当院ではDXA(Dual energy X-ray
Absorptiometry)という2種類の異なるエネルギーのX線を照射し骨と軟部組織の吸収率の差により骨密度を測定しています。
骨粗鬆症の診断には骨折後のQOLへの影響の大きい腰椎または大腿骨近位部を用いて測定する事が推奨されている為、当院でもその両方を採用しています。
SHIMADZU社製『SONIAL VISION G4』
ホルミウムレーザは、組織への熱侵襲を最低限に抑えられるといった特性があります。
この低侵襲のレーザー光を用いて、尿路結石症治療(f-TUL)を行うことができます。
ボストン・サイエンティフィック社製『VersaPulse Select 80』
尿路結石治療センターへ
心臓の検査および治療は、局所麻酔下で、経皮的にカテーテルとよばれる中空の管を心臓まで押し進めて行われます。
検査では循環動態検査(心内圧測定、心拍出量測定、酸素飽和度によるシャント疾患の評価)、造影検査(冠動脈造影、左心室造影、大動脈造影)、その他(心内膜心筋生検)、などがあります。
治療ではカテーテルの中を通して種々の器具を挿入し、冠動脈の血管拡張術を行っています。
ペースメーカー植込みが必要となった場合は、手術室ではなくこの部屋で行います。その理由として、デバイスが小型化されるにつれ手術に開胸が不要となり、カテーテル室でも行われるようになったからです。
ペースメーカーは特殊な場合を除いて基本的に左右の前胸部に植込まれます。そのため、左右どちらかの鎖骨下部分の皮膚の下にペースメーカー本体を収めるためのポケットを作ります。その後、鎖骨下静脈または腋窩静脈を通り道とし、ペースメーカー本体と心臓との間を電気的につなぐための細いリード線を挿入し、リード線先端を心臓の右房・右心室まで到達させます。このとき、ペースメーカーの種類によってはリード線が1本であったり、2本であったりします。
ペースメーカーを植込んだ場合は、1週間後に専用の機器を用いて病室で検査をするためそれまでの間、入院が必要となります。
血液透析をされている患者さんのシャント血管の内側がなんらかの原因で狭くなったとき、血管内に先端にバルーン(風船)が付いているカテーテルを挿入して、狭窄部でバルーンを数回膨らませることで血管を拡げて血液がスムーズに流れるようにします。この治療を行うことで同じシャントを長期間使用することができます。
また、皮膚を切開せずに治療するため、身体への負担が少なくなります。心臓の冠動脈や脳血管の治療と違って、基本的に入院の必要はありません。
腎動脈や腸骨動脈、浅大腿動脈などの血管が狭くなった部位をバルーンにて拡張し再度狭くならないようにステントという網目の筒状のものを血管内に留置し、血流の改善を図る治療も行っており、腎動脈形成術、大腿動脈形成術、などがこれにあたります。
下肢にできた血栓が血流にのって脳や肺、心臓などにいかないように、下大静脈に血栓を受け止めるフィルターを留置する手術も行っています。
カテーテルという細い管を血管内に入れ、そこから造影剤を注入し、X線で血管を撮影することで血管の形態や流れを観察することを、血管造影検査といいます。 血管が細かったり詰まっていたりすれば、そのまま血管内治療をする事もできます。
プレーン(アーム)が2つあるため、バイプレーン型血管造影検査装置といいます。 血管を撮影する時、今までは1回の造影剤の注入で1方向のみの撮影でしたが、バイプレーンでは、1回の造影剤の注入で2方向の撮影ができるようになります。 そのため、2方向の撮影が必要な場合は、バイプレーンでは1度で撮影をすることできるため、シングルプレーンと比較すると、造影剤の使用量を約半分になる上、検査時間も大幅に短縮することができるのが特徴です。 当院では、主に脳外科領域の検査を行います。
脳血管造影検査では脳血管に造影剤を注入してX線撮影し、脳血管を観察する検査です。脳腫瘍除去術の前に腫瘍の近くを重要な血管が通っていないか、腫瘍に血管が食い込んでいないかなどを観察します。脳動静脈奇形の場合は目標部位の状態を確認したりします。また、動脈硬化が原因で狭くなった血管にどの程度の血流があるのかなどを把握するためにもこの検査を行います。
治療では、くも膜下出血の原因となる動脈瘤がある場合はコイル塞栓術(Coiling)を行います。脳動静脈奇形の場合には、異常血管部に液状塞栓物質という特殊な薬物を詰めて固まらせ、異常血管部を塞ぐ治療をします。動脈硬化により頸動脈が狭くなったことが原因で一過性脳虚血発作が生じた場合、狭窄部位にバルーンを挿入し拡張後、ステントを留置させ血流の改善を図る頸動脈ステント留置術(CAS)や急性期脳梗塞に対する血栓回収デバイスを用いた急性期再開通療法を行っています。
当院では、主に脳神経外科の手術に使用しております。脳神経外科の手術は顕微鏡を用いて直視下で行うことが多く、限定された範囲内で手術しており、非常に繊細な技術が求められます。正確に脳の中を手術していくための方法としてナビゲーションシステムというものがあります。
脳腫瘍などの手術の際には、病変の局在や周囲の正常組織との関係を3次元的に把握することが重要です。従来であれば術前にCTやMRIの画像を見ながら医師が自分で立体像のイメージを作り、自身の経験等により、頭蓋のどこに穴を開ければよいか決めていました。そのため、少しでも切除する部分を間違えたりして神経や血管を損傷してしまうと、重篤な合併症を招く恐れがありました。
ナビゲーションシステムを用いると病変部とその周囲を立体的に描出してくれるため、手術の際にどこを切開し、どの方向に進めば安全に病変部まで到達できるのか、ということが視覚的に分かります。
また、病変の広がり、重要な神経や血管の位置、手術している部位をリアルタイムに正確に表示してくれるので、神経や血管を傷つけることなく、病変部を残さず切除するのにも役立ち、安全に手術を行うことができます。
日本メドトロニック社製
『StealthStation S7 ナビゲーションシステム』
インテュイティブサージカル社製
写真左から