呼吸器内科プログラム
研修責任者:井上恵一(呼吸器内科部長)
研修期間
4~5年(最初の1年間は総合内科コースと同様)
目的
人口の高齢化に伴い慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症、肺腫瘍などの呼吸器疾患が急増し、呼吸器科の重要性はますます高まっている。呼吸器疾患は、感染、アレルギー免疫異常、発癌、代謝異常、循環障害など様々な領域にまたがっており、また多彩な病態を呈する。したがって、一人前の呼吸器内科医となるためには多くの臨床例を経験する必要がある。
後期研修の目的は、数多くの呼吸器疾患患者を一例一例きめ細かく診療することにより呼吸器科の一般的な知識や技能を習得し、呼吸器内科医としての基盤を構築することである。一方、呼吸器は循環器をはじめとする種々の臓器と密接に関連しているため、優れた呼吸器内科医となるためにはgeneral physicianであることが不可欠である。後期研修では一般内科の臨床能力をさらに向上させる必要がある。臨床研究や学会発表も積極的に行っていく。
到達目標
- 質の高い医療を実践し、患者から信頼される臨床医を育成する。
- 肺感染症、肺結核、肺腫瘍、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性 下気道
疾患、びまん性肺疾患のすべての症例を経験する 。 - 胸部X-p、CTおよび他の画像検査の所見を読影し、その鑑別が的確にできる。
- 肺炎・気管支喘息など急性期の疾患管理ができる。
- COPD・間質性肺炎・肉芽腫性肺疾患など慢性疾患の診断と治療ができる。
- 肺癌に対して緩和ケアを含めた総合的治療および対症療法ができる。
- 気管支鏡検査の適応を判断し、独自に検査できる。
- 透視下あるいはエコー下で経皮肺生検や胸水の穿刺ができる。
- 気胸、胸膜炎に対してのドレイン挿入ができる。
- 呼吸不全の治療が的確にできる。
- 非侵襲的換気療法(NIPPV)を含めた呼吸管理や挿管の適応を判断し適切に行える。
- 呼吸器専門外来を適切に行える。
- 初期研修医に対し適切な指導を行える。
- 積極的に研究会や学会で発表する。さらに論文作成を行う。
- バランスのとれたgeneral physicianになる。
- 日本内科学会認定内科医および日本呼吸器学会呼吸器専門医を取得する。
日本呼吸器学会専門医受験資格
- 日本内科学会認定医資格を取得後3年以上同学会の会員であること。
- 日本呼吸器学会認定施設において、日本内科学会認定内科医資格を取得した年度を含めて3年以上呼吸器学の臨床研修をしていること。
当科の現状
当院は東葛地区の基幹病院で病診連携が緊密であるため、紹介患者が非常に多く、呼吸器疾患の症例は豊富である。院内では週1回、内科合同カンファレンスがあり、興味ある症例について症例検討会を行っている。またこの地区では複数の病院の呼吸器専門医が集まり研究会や読影会を積極的に行っている。
呼吸器疾患の診断に必要な検査としてはCT、MRI、エコーなどの画像診断、尿中抗原迅速診断(肺炎球菌、レジオネラ)、マイコプラズマIgM抗体価測定、喀痰グラム染色、抗酸菌塗抹検査、精密肺機能検査、気管支鏡検査、CT下肺生検などが院内で可能である。また常勤の呼吸器外科のスタッフにより胸腔鏡による肺生検、気胸や膿胸の治療、肺気腫の外科治療が可能である。敗血症による急性呼吸窮迫症候群に対しては腎臓内科と協力しエンドトキシン吸着療法が施行可能である。Co-medicalとの連携は非常に良好で、COPDの症例などに対し呼吸リハビリを積極的に行っている。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 病棟 | 外来 | 病棟 | 病棟 | 病棟 | 外来 |
午後 | 病棟 検査 |
外来 | 内科合同カンファレンス | 病棟 検査 |
病棟 検査 |
指導医からのメッセージ
当院は日本呼吸器学会の教育病院に指定されています。
当科では研修を継続すれば呼吸器専門医の受験資格を取得できます。近隣の医療機関からの紹介患者さんが多く、症例は豊富で充実した研修生活を送ることができると考えられます。