脳ドック・検診・予防接種のご案内
乳癌・子宮癌をはじめとするおなかの手術後の方で、
 ・最近、手・足がおもだるい、鈍い痛みを感じる
 ・指輪・靴がきつくなった
 ・脛の骨をさわろうとすると“ぶにっ”とへこむ
 ・便座に座っての用が足しづらくなった
 ・膝が曲げづらくなった
それは、リンパ浮腫かもしれません。
どんな症状がでるの?
リンパ“浮腫”ですので、むくみの症状がでます。
むくむと、文字通り患肢が太くなります。指で押すと凹んだりします。(pitting edema)また今までよりも太くなったことで、ズボンや靴が履きづらい、足・手首が曲げづらいといった所見を自覚することがあります。
ほかのむくみと違って、段々と皮膚が固くなることがあります。
組織間のゴミは、リンパ液を介してリンパ液を介して運び出されています。リンパ浮腫ではそのゴミの排出が滞ります。そのオリに様々な細胞が影響して、線維化が生じると考えられています。
突然むくんでいる手足が赤みと熱を帯びてくることがあります。=蜂窩織炎の発症
通常細菌が体内に侵入した場合には、白血球がやってきてやっつけること+リンパ液で運び出してリンパ節でやっつけることで対処しています。リンパ浮腫で流れが滞った状態では、これらのいずれもが作用しづらくなっています。このように感染に弱い状態に細菌が入り、むくんでいる場所=皮下組織に感染が生じた状態が、蜂窩織炎です。さらに悪いことに、一旦蜂窩織炎が収まっても、炎症によって組織の繊維化が進む → リンパの流れがさらに滞る となり、さらに感染しやすい状態になってしまいます。
リンパ浮腫ってなに?
一言でいうと、通常ならば流れ出ていくはずのリンパ液がその場(手・足)に停滞してしまうことで、むくんでいる状態です。もう少し詳しく説明は下記をご覧ください。

体の中では、一日に2-4Lのリンパ液が循環しています。
体には血が流れていて、心臓から動脈にでていき、静脈から戻ってきます。しかし動脈から静脈にかわる場所では、動脈の血はリンパ液と静脈の血とに分かれています。リンパ液は静脈とは別の経路で戻ってきて、心臓のすぐ近くで静脈に合流しています。循環しているリンパ液は、1日あたり2-4Lといわれています。動脈血が1日当たり2400Lくらいですから、その0.1-0.2%くらいといえます(図)。ほんとに少ない割合なんです!!
毛細血管周囲のリンパ系を含めた体液循環

リンパ液は、少ないながらも重要な働きをしています。
このように循環量の少ないリンパ液ですが、リンパ液にも特有の役割があります。
まず、細菌やウイルス、タンパク質など大きなゴミを運搬します。これは、リンパ管のスタート部分(毛細リンパ管)では細胞の隙間が開くことで余分な水分の流入が行われるからです。隙間から水とともにゴミもリンパ液に混ぜ込まれます。
またリンパ管の流れのところどころにはリンパ節というものが存在します。そこにはリンパ球や形質細胞といった免疫に関与する細胞がいて、リンパ管を通ってきたゴミを退治します。
リンパ管にも、動脈・静脈と同じように特有の経路があります。
動脈は、心臓をスタートに枝分かれを繰り返して末端まで流れていきます。静脈は、合流を繰り返して心臓に戻ってきます。動静脈はおおむね伴走していますが、皮静脈など伴走していない部分も存在します。リンパ管はというと、おおむね静脈と同じような走行をしています。毛細リンパ管から始まり合流を繰り返し、右上半身のリンパ液は最終的に右鎖骨の下の静脈に、それ以外の部分のリンパ液は左鎖骨の下の静脈に注ぎます。
右顔面・右上肢→右静脈角に その他の部位→左静脈角に

癌の手術の時には、癌本体だけでなく、周囲のリンパ管を含めたリンパ節を切除します。

メインの流れを遮断されたリンパ液は、今までの流れができなくなります。
もちろん手術直後は誰もが一時的に流れが悪くなります。その点からは、手術直後は全員がリンパ浮腫などのリンパの循環障害状態となります。ただ、多くの方は流れの悪い状態を改善しようと体が別の流れ方を築きなおし、リンパ液が循環できるようになります。
こうして浮腫が出ていない状態に戻りますが、リンパの流れる力は実は落ちています。
違う流れ方でもリンパ液を流しきれない状態が、リンパ浮腫です。
リンパの流れる力が落ちた状態に、けがをしたとか、さらに別の手術をした、蜂窩織炎になったなどでさらに流れる力が弱まると、浮腫にならないために必要な循環量を賄えなくなり、浮腫になってします。このぎりぎりの一線を越えてしまう時期は、いつかは分かりません。したがって、手術から何年もたってからリンパ浮腫が出現する方もいらっしゃいます。
続発性リンパ浮腫でのリンパ液循環量の変化
どうやって治療するの?
当院では、最新の手術療法を軸とした治療を提案しています。
現在、皮膚ケア・運動療法・圧迫療法を組み合わせた複合理学療法が多数の施設で勧められています。(複合理学療法に関しては、ほかのサイトを検索してみてください。)複合理学療法だけでリンパ浮腫のコントロールがつく人もたくさんいますが、一方で複合理学療法ではあまり改善がみられない人も散見され、そういった人たちに減量術をはじめとする手術が行われました。ただ、リンパ浮腫状態の四肢は創治癒が得られづらいためにこれらの手術では合併症も多く、あまり普及はしませんでした。これに対して、2000年ころから光嶋らが患肢の皮下でリンパ管と細静脈を吻合する手術(リンパ管静脈吻合術;以下LVA)に圧迫療法を併用することで、今までには得られなかったような浮腫の改善がえられたことを報告しました。それ以降、効果があったとの報告が段々と増え、現在世界的に注目される最新の治療法となっています。
リンパ管静脈吻合術(LVA)とは、生理的な体液循環の理にかなった治療法です。
前述のとおり、リンパ液は最終的には両鎖骨下で静脈に合流したのち、心臓に到達します。リンパ浮腫では、患部からその鎖骨下に至る経路のどこかで流れが滞っている / 途絶している場所が存在しています。であるならば、その場所の手前で静脈に流し込めば、リンパ液がちゃんと循環してくれるといえます。LVAは、その経路を作る手術です。
LVA
当院での検査及び治療プロトコール
当院では、まずストッキングもしくは包帯での圧迫療法を指導しております。というのも、LVA手術の後療法として圧迫が前提となるためです。また同時に、リンパ管の環流状態に関してもシンチグラフィーによる検査を施行していきます。シンチグラフィーによる結果と合わせて、手術が適応と判断した場合に手術を提案させていただいております。

典型症例:リンパ浮腫ではありませんが、リンパのう胞(リンパ液がおなかの中に漏れ出て、溜まってしまう病気)での症例を提示します。
LVA

手術前(上図):おなかを占拠するようにリンパのう胞が存在しています。
手術後(下図):LVA術後3日での同じ部位。リンパのう胞がきれいに消えています。これは、リンパのう胞に注がれていたリンパ液がLVAによって、静脈に迂回できたためです。リンパ浮腫でも手術内容は同じですので、同様にリンパ液を迂回させることができます。
医療法人社団 明芳会 高島平中央総合病院
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