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脳血管内治療相談外来

はじめに
心臓外科、消化器外科、整形外科、婦人科、泌尿器科などのいわゆる外科系科目で行われている外科手術。近年その手術方法は、患者さんの身体に負担が掛からない低侵襲な術式へと変化してきています。以前は大きく切開しないと行えなかった手術が、小さな傷跡を残すのみで可能となりました。内視鏡下手術がその一例です。つまり患者さんにとって、より優しい治療法を提供するべく手術方法は日々改良されているのです。
脳神経外科領域でも例外ではありません。これまでは頭皮をメスで大きく切開し、ドリルで頭蓋骨を外して行う開頭手術が主流でした。しかし近年は頭を切らずとも治療が可能な血管内治療の登場により、多くの脳疾患が頭を切らずとも治療が出来るようになってきました。
脳血管内治療とは?
カテーテルと呼ばれる、チューブ状の細長い医療機器(デバイス)を使って治療します。脳血管撮影装置と呼ばれるレントゲン機器で撮影しながらカテーテルを操り、治療用の材料や薬剤を標的の病変まで送り届け治療を行います。
カテーテルを挿入する部位(穿刺部位)は、体表で脈を触れる部位であればどこでも良いのですが、主に使用される穿刺部位は足の付け根(鼠径部)です。
対象となる疾患

大きな意味で『脳卒中』が対象です。ではこのよく耳にする『脳卒中』とは何でしょう?
脳卒中とは①くも膜下出血 ②脳梗塞 ③脳出血 の3つ病態全てを意味します。
正確にはそれらの原因となる疾患が血管内治療の対象となります。
挙げると脳動脈瘤、頸動脈狭窄症、脳主幹動脈閉塞、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻などです。その他、脳腫瘍(髄膜種)や頭部外傷なども治療対象となります。
当院で特によく扱う疾患は

○ 脳動脈瘤(破裂・未破裂脳動脈瘤)

脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血になります。
主な症状は、よく“ハンマーで殴られた“と形容されるように、これまで経験した事ないような突然の激しい頭痛です。それに伴う嘔気・嘔吐や、その他めまい、意識消失などもあります。
くも膜下出血は現代医療をもってしても死亡率は非常に高く、発症すると約1/3の患者さんが亡くなってしまう病気です。ですから近年では脳ドックなどを利用し脳動脈瘤が破裂する前に発見し、破裂しそうな特徴を持つ動脈瘤を選別し治療を行うと言った、くも膜下出血を未然に防ぐ試みが推奨されています。
脳動脈瘤の治療方法は、破裂でも未破裂であっても一緒です。以前なら開頭手術(クリッピング術)が主流でありましたが、血管内治療の出現により、大部分の脳動脈瘤が傷跡を残すことなく治療が可能となりました。治療方法は、カテーテルを操りコイルと呼ばれるプラチナ製で非常に柔らかい素材を脳動脈瘤内に送り込んで詰めてしまう手法です。未破裂脳動脈瘤であれば3、4日間の入院だけで治療可能です。

○ 頸動脈狭窄症

脳梗塞の原因の一つです。年齢が進むにつれ、血管の老朽化(動脈硬化)は体内のどの血管にも現れてきます。血管の内膜が厚くなったり脂肪成分が堆積し粥腫(プラーク)を形成したりします。それにより血管内腔は徐々に狭くなり、時に閉塞したりします。頸動脈は心臓から脳へと血液が送り出される際の大切な通り道ですが、プラークの好発部位としても知られています。そのプラークが血液の流れを妨げるまでに成長すると、脳へ送られる血液量が減少したり、脆いプラークが崩れて断片が流れていくことで脳梗塞を引き起こします。その時の症状として、一時的に目が見えなくなったり(一過性黒内障)、言葉が出なくなったり、手足が動かせなくなったりします(一過性脳虚血発作)。
プラークが成長にするにつれ頸動脈内腔が狭くなっていきますが、中等度狭窄以下であれば内服治療のみで脳梗塞の予防は可能です。しかし中等度以上から高度狭窄となると、内服治療に加えて外科的治療を追加しないと脳梗塞は予防出来ないと言われています。
治療として、頸部を切開し直接プラークを摘出する内膜剥離術は歴史も古く、その有効性は科学的に立証されており、現在も広く行われています。しかし近年では症例によっては血管内治療(ステント留置術)でも十分対応出来るようになり、その治療成績は内膜剥離術に劣らない事が実証されました。

○ 急性脳主幹動脈閉塞に対する治療:血栓回収療法

脳梗塞の原因の一つです。脳内の血管が何らかの原因で閉塞し、脳組織への血流が遮断されると、脳機能は徐々に低下し、最終的に死滅し脳梗塞に至ります。小さい血管が閉塞すると小さい脳梗塞に、大きな血管が閉塞すると大きな脳梗塞になります。大きな血管(主幹動脈)が閉塞した場合、以前なら重篤な後遺症を残し自立した生活が出来なくなったり、亡くなる人も多い疾患でした。しかし2016年に血栓回収療法が全世界で紹介されると、主幹動脈閉塞症と診断された患者さんでも、その治療で多くの人が社会復帰出来るようになりました。
治療方法は、ステントを広げて投網のように血栓を捕まえる、または吸引カテーテルで掃除機の要領で血栓を吸い込む、またはその両方を併用して治療します。脳梗塞が完成するまでの間に治療を完遂させないといけないので、正に時間との勝負の治療法です。

◆血管内治療専門医からのメッセージ
当院では上記以外の疾患に対しても積極的に血管内治療を行っておりますが、血管内治療の対象となる疾患であっても、個々の患者さんの病状や血管の状態は様々であり、ある患者さんには血管内治療が適応となっても、別の患者さんには開頭手術の方が良い場合もあります。
脳神経外科を標榜している施設は星の数ほどにありますが、残念ながら脳血管内治療専門医が不在の施設、逆に脳血管内治療のみに特化した施設もあります。そのような施設では治療方針が偏ってしまう恐れがあります。当院では血管内治療を積極的に行っている施設でありますが、それ以前に開頭手術に関しても治療経験豊富な脳神経外科専門医も揃っています。個々の患者さんとって“どっちの治療方法が最適なのか?”公平な立場で最善の治療方法をご提案出来る事が当施設の強みだと自負しております。至極当然ではありますが、まず患者さんの安全を確実に担保した上で、患者さん個々のご希望に最大限沿った治療方法をご提供していきたいと思っています。

最後に、上記に挙げた疾患を他院で指摘されている方、その他疾患であっても血管内治療について相談したい方、他院で開頭手術を勧められた方、逆に血管内治療を勧められたがセカンドオピニオンをご希望な方、血管内治療に関する些細な事は勿論、開頭手術についてご質問がある方。なんでも結構ですので一度相談してみて下さい。
外来担当医表
午 前 江里口
午 後 中村(真)

は女性医師
青色・・・当院常勤医師
※一部予約制を取っております。
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※診療開始は9:00となります。

明理会中央総合病院 〒114-0001 東京都北区東十条3丁目2番11号