泌尿器科 診療科

診療内容

 当院は、日本泌尿器科学会の専門医である常勤医師3名(指導医3名)と非常勤医師で泌尿器科疾患全般に対応しています。入院治療にも適時対応しており、手術に関しては低侵襲な内視鏡手術を中心に行っております。近年増加傾向にある前立腺癌の疑いに対してはPSA測定・生検を行い診断・治療を行っています。

 当院では、尿管結石治療センターを併設しており、専門の治療も行っています。 排尿に時間がかかる、尿の出が悪い、トイレに何度も行く、もれる、尿が出るとき痛みがある、尿に血液が混ざるといった症状は泌尿器科の病気の疑いがあります。何か気になる方は一度泌尿器科の受診をお勧めします。

認定施設

日本泌尿器科学会専門医教育施設

対象疾患

  • 泌尿器癌 : 前立腺癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、精巣癌など
  • 排尿異常 : 前立腺肥大症、尿道狭窄、尿失禁、過活動膀胱
  • 尿路の炎症 : 腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、性感染症など
  • 尿路結石 : 腎臓結石、尿管結石、膀胱結石
  • 男性泌尿器の病気 :精巣上体炎、精巣炎、勃起不全、包茎

診療の特色

尿路結石症

 尿路結石は腎臓から尿道に至る尿の通り道に結石ができる病気で、急激な腰背部痛や腹痛を引き起こします。一般的に5mm未満の小さな結石は自然排出されますが、それより大きな結石は外科的治療が必要となります。

 当科は、ホルミウムレーザーを用いた経尿道的結石砕石術(TUL)を行なっております。

結石


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前立腺肥大症

 前立腺肥大症は前立腺の内腺が肥大する疾患で、高齢男性の排尿障害の多くがこの疾患によるものです。前立腺肥大症の治療は、内科的治療と外科的治療があります。一般的に内科的治療は薬物療法が、外科的治療には前立腺腺腫を核出したり、切除する内視鏡手術が行われています。

前立腺 前立腺肥大症患者

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当院では平成14年の内視鏡システム導入以来、高度な技術を持ち独自の経尿道的前立腺切除術(TURP)を確立してきましたが、平成28年10月よりTURPよりもさらに安全で合併症の少ない生理食塩水灌流経尿道的前立腺切除術(bipolar-TURP)を開始いたしました。従来のTURPでは手術中に非電解質溶液を灌流液として使用する必要があり、その非電解質溶液が体内に吸収されることで低ナトリウム血症という合併症の可能性がありました。このシステムはバイポーラ電極で体内に電流が流れないため、電解質溶液(生理食塩水)を灌流液に使用することができ、従来のTURPで問題となっていた低ナトリウム血症の心配がありません。

尿路感染症

尿路感染症
  • 膀胱炎
    尿道が短い女性に多い疾患です。菌が尿の出口から膀胱に侵入し繁殖することにより起こります。排尿痛、排尿時違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛、血尿、混濁尿、尿臭が強いなどの症状が現れます。治療は抗生物質の内服です。
  • 腎盂腎炎
    炎菌が膀胱から腎臓に侵入し、腎臓に炎症を起こす病気です。膀胱炎症状に続いて、発熱、腰背部痛が起こります。入院して抗生物質の点滴治療が必要となることもあります。
  • 前立腺炎、精巣上体炎、精巣炎
    成人男性に多い急性・慢性前立腺炎、精巣の腫れ・痛みを引き起こす精巣上体炎、おたふく風邪に引き続いて精巣が腫れる精巣炎があり、それぞれに応じた治療法を行います。
  • 尿道炎
    淋菌性尿道炎(淋病)、クラミジア尿道炎は、性交により感染し、排尿時の痛みや違和感で発症します。抗生物質の内服により治療します。


過活動膀胱

過活動膀胱は以下のような症状を示す病気です。

尿意切迫感  
急に我慢できないような尿意が起こる
頻尿     
トイレが近い
夜間頻尿   
夜間に何度もトイレに起きる
切迫性尿失禁 
急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある  など

過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因で起こる「非神経因性」のものがあります。最近では40歳以上の男女の8人に1人、また前立腺肥大症のある人の50~75%には過活動膀胱の症状があると言われます。過活動膀胱の治療は薬物療法が一般的です。

本邦の大規模疫学研究による過活動膀胱の有症状率
出典:『過活動膀胱診療ガイドライン[第2班]』/編集 日本排尿機能学会・過活動膀胱診療ガイドライン作成委員会/発行 2015年4月30日 リッチヒルメディカル株式会社/P80/図6/©日本排尿機能学会

腹圧性尿失禁(尿漏れ)

 女性の身体では、お腹に強い力(腹圧)がかかった時に骨盤底筋という筋肉が膀胱と尿道を支えることで、尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでいます。 腹圧性尿失禁(尿漏れ)は、この骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることによって、尿道をうまく締められなくなり、尿漏れを起こす病気です。骨盤底筋が弱くなったり傷んだりする原因の最も大きなものは、出産と言われています。また、加齢や血液中の女性ホルモン濃度の低下、肥満などが、骨盤底筋の傷みの原因となります。
 尿失禁は命に関わる病気ではありませんが、生活の質(QOL)を多いに損なう病気なので、QOLの改善を目的として治療を行います。
 腹圧性尿失禁の治療は、骨盤底筋体操です。 骨盤底筋を鍛えて、臓器が下がるのを防ぎ、尿道や肛門を締める力やコントロールする力をつけることで、尿漏れを防ぐ方法です。手術には、尿道をテープで吊り上げる中部尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)があります。手術をご希望の方は関連施設をご紹介します。

泌尿器癌

  • 腎臓癌
    腎臓癌の代表的な症状は腹部の疼痛、血尿、腹部のしこりです。最近では超音波検査やCT検査で偶然癌が見つかることも増えてきました。手術や免疫療法で治療します。
  • 尿路上皮癌(腎盂癌、尿管癌、膀胱癌)
    尿路上皮癌は、尿路(腎盂、尿管、膀胱、尿道)に発生する癌です。泌尿器科系悪性腫瘍の中では、前立腺癌に次いで多い癌です。しばしば多発し、再発を繰り返すのが特徴です。初期症状で最も多いのが無症状の血尿です。その他に頻尿などの膀胱刺激症状や排尿障害がみられることもあります。早期の膀胱癌では、尿道から内視鏡を挿入して、内視鏡下に行う手術で根治可能です。また、進行癌で放射線治療や化学療法が必要な場合は関連施設をご紹介しています。
  • 前立腺癌
    前立腺癌は初期には無症状です。当科では、血中PSA(前立腺特異抗原)値の測定に加えて、直腸内触診、MRIを行って、前立腺癌の早期診断に努めております。前立腺癌の治療法としては、早期のものでは根治手術(ロボット支援前立腺全摘手術)・放射線療法、進行性のものには内分泌療法が代表的です。手術や放射線治療が必要な場合は関連施設をご紹介します。
  • 精巣癌
    精巣腫瘍の主な症状は、片側の精巣の腫れや硬さの変化です。多くの場合、痛みや発熱はありません。精巣癌に対しては、手術、放射線治療、抗癌剤治療を行います。化学療法や放射線治療が必要な場合は、関連施設をご紹介します。

勃起不全(ED)

勃起不全(ED)

 EDとは性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足な性交を行うことができない状態です。原因として精神的要因が多いのですが、基礎疾患として糖尿病による末梢神経障害も重要な要素になっています。バイアグラ、レビトラ、シアリスなどの処方(自費診療)も積極的に行っています。

包茎

陰茎の亀頭が包皮から露出していない状態を包茎といいます。

仮性包茎手で包皮を剥くことができる
真性包茎手で包皮を剥くことができない。時に亀頭包皮炎や排尿障害を起す。
嵌頓かんとん包茎仮性包茎と真性包茎の中間で包皮が剥けるが包皮先端が狭く、陰茎を 締め付け血流障害となる場合。

嵌頓包茎や真性包茎は治療の対象となる疾患ですので、保険診療の対象として手術が可能です。
仮性包茎は治療の必要はありませんが、余剰包皮が多く見た目が悪いと言う理由での手術は美容手術となりますので自費診療(他院)となります。
当院では保険診療の包茎手術に対応しておりますので、包茎でお悩みの方は当科をご受診ください。

医師紹介

「日本泌尿器科学会専門医教育施設」
泌尿器系疾患全般の診療を行っています。平成19年7月からは尿路結石治療センター(元 尿路結石破砕センター)をオープン。

泌尿器科 部長 須山 太助

須山 太助
専門分野 泌尿器科一般
主な経歴
2000年
東邦大学卒業
2000年
東邦大学大森病院 研修医
2002年
済生会若草病院 泌尿器科
2003年
水戸赤十字病院 泌尿器科
2006年
がん研有明病院 泌尿器科
2009年
東邦大学医療センター大森病院 泌尿器科
2010年
東邦大学医療センター大橋病院 泌尿器科
2011年
三愛会総合病院 泌尿器科/東邦大学医学部 客員講師(〜2020年3月)
2019年
東京腎泌尿器センター大和病院(現:明理会東京大和病院)泌尿器科
2020年
あいホームケアクリニック
2023年
現職
所属学会・資格 日本泌尿器科学会 専門医、指導医
日本性機能学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本医師会認定産業医
巻き爪ワイヤーVHO認定医
ICD制度協議会認定 Infection Control Doctor
厚生労働省 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会 修了
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会 修了
ライフ・プランニング・センター がんのリハビリテーション研修 修了
仙骨神経刺激療法(SNM)講習 修了
ロボット(da Vinci S/Si/Xi)支援手術教育プログラム 修了
身体障害者福祉法第15条指導医(膀胱または直腸機能障害の診断)
博士(医学)
一言コメント 私は、これまで泌尿器がんの外科手術や前立腺肥大症・尿路結石症の内視鏡手術、また、在宅医療などに携わってきました。患者様の生活背景を考慮し、丁寧な医療を提供することを心がけています。

泌尿器内視鏡センター長 諸角 誠人

高月 健太郎
専門分野 尿路結石症
尿路および男性生殖器悪性腫瘍
主な経歴
昭和57年
筑波大学 医学専門学類卒
昭和57年
順天堂大学 医学部
泌尿器科学教室入室
昭和62年
越谷市立病院 泌尿器科
(平成12年まで)
平成7年
順天堂大学 医学部
泌尿器科非常勤講師
平成13年
琉球大学 医学部 泌尿器科 講師
平成15年
米国フロリダ大学 医学部 病理学教室
visiting assistant professor
平成16年
琉球大学 医学部 泌尿器科 講師
平成18年
埼玉医科大学総合医療センター
泌尿器科 助教授
平成18年
埼玉医科大学総合医療センター
泌尿器科 准教授(令和4年まで)
平成29年
埼玉医科大学総合医療センター
結石センター長
令和4年
埼玉医科大学総合医療センター
泌尿器科 客員教授
イムス三芳総合病院
所属学会・資格 日本泌尿器科学会(専門医・指導医)
日本泌尿器内視鏡ロボティクス学会
日本尿路結石症学会 評議員
日本内分泌学会 内分泌代謝科(泌尿器科専門医)
日本がん治療認定機構がん治療認定医
得意分野 尿路結石症 内視鏡治療
尿路・男性生殖器悪性腫瘍に対する集学的治療(手術、化学療法を含む)
一言コメント 2022年5月よりイムス三芳総合病院に入職致しました諸角誠人と申します。 私は2006年1月から2022年3月までの16年3か月の間、埼玉医科大学総合医療センターで勤務しておりました。また、当院には非常勤医師として10年間以上、週一回、外来診療および手術を行っていました。この度、当院の常勤医師として勤務することになりましたので、宜しくお願い申し上げます。
私の専門は 尿路結石症および泌尿器科悪性腫瘍です。特に尿路結石症は私のライフワークであり、埼玉医科大学総合医療センターでは結石センター長として内視鏡手術を中心に診療を行っていました。また、2020年には日本尿路結石症学会 第30回学術集会会長を務めさせて頂きました。一方、泌尿器科悪性腫瘍疾患に対しても、がん治療認定医を取得するとともに手術および抗がん剤治療を含む集学的治療を積極的に行っておりました。
さて、当院は埼玉西部地域の基幹病院として様々な状況に対応することが求められております。そのためには私が16年に渡り勤務致しました埼玉医科大学総合医療センターと連携を取り、適切な医療を地域の方々に提供することが私の役割と考えております。そのような状況下、ロボット支援手術『ダビンチ』の当院における導入と私の入職が偶然にも重なりました。医学領域における科学技術はとてつもない速さで進んでおり、これまでの常識が通用しなくなっています。すなわち、機械の有無が病院のアクティビティを左右するまでに至っております。
私は順天堂大学、琉球大学、埼玉医科大学総合医療センターで培った経験を活かし、当院が地域で求められている役割を担えるよう一生懸命に勤務したいと考えております。どうか宜しくお願い申し上げます。

柚木 隆寛

高月 健太郎
専門分野 泌尿器疾患一般
前立腺肥大症
尿路結石など
主な経歴
平成4年
日本大学医学部 卒
平成9年
社会保険横浜中央病院
平成11年
日本大学医学部付属板橋病院
平成12年
川口市立医療センター
平成16年
東京臨海病院
令和元年
イムス三芳総合病院
所属学会・資格 日本泌尿器科学会(専門医・指導医)
日本泌尿器科内視鏡学会
日本排尿機能学会
日本臨床泌尿器科学会
日本癌治療学会
日本レーザー医学会 レーザー専門医
医学博士
臨床研修指導医
得意分野 経尿道的前立腺切除術
経尿道的膀胱腫瘍切除術
経尿道的尿管・膀胱結石砕石術
一言コメント 平成4年に日本大学を卒業し、これまで大学の関連病院に勤務しておりました。
この度、縁あって、2019年4月から当院にお世話になっています。
特に、男性の排尿障害の大半を占める前立腺肥大症、突然の激痛を生じる尿管結石を専門に、泌尿器科疾患全体に幅広く対応しています。
手術に関しては、最近の手術傾向から経尿道的手術を主に行っています。
当院には、体外衝撃波結石破砕装置、硬性・軟性尿管鏡に用いるレーザー、圧縮空気による結石破砕システムが導入されており、手術が必要な結石患者様に対して、より充実した治療が行えると考えています。
地域の皆様にお役にたてるよう頑張る所存です。よろしくお願いいたします。

石田 規雄

石田 規雄
主な経歴
昭和52年
帝京大学医学部卒
平成14年
イムス三芳総合病院
所属学会・資格 日本泌尿器科学会(認定専門医、指導医)

外来担当医表

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※曜日、担当医によって診療開始時間・診療受付終了時間が異なる場合がございます。
 必ず外来担当医表をご覧下さい。
※受付終了時間を都合により変更する場合がございます。ご了承下さい。  

手術実績(2022年)

後腹膜悪性腫瘍手術 1件

腎、腎盂

経皮的尿路結石除去術(経皮的腎瘻造設術を含む) 1件
経皮的腎嚢胞穿刺術 1件
腎(尿管)悪性腫瘍手術 1件
経皮的腎(腎盂)瘻造設術 10件

尿管

経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 49件
経尿道的尿管ステント留置術 7件
経尿道的尿管ステント抜去術 1件

膀胱

膀胱結石摘出術(経尿道的手術) 17件
腹腔鏡下膀胱部分切除術 1件
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 36件
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 12件
尿膜管摘出術 2件

尿道

外尿道腫瘍切除術 1件
尿道悪性腫瘍摘出術(内視鏡) 1件

陰嚢、精巣、精巣上体、精管、精索

陰嚢水腫手術(その他) 3件
精索捻転手術(対側の精巣固定術を伴う) 1件

精嚢、前立腺

経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 4件
腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 4件

外陰、合陰

バルトリン腺嚢胞腫瘍摘出術(造袋術を含む) 1件