診療活動
気になることがあればご相談ください
おねしょ・おちんちん・睾丸など、子供のことで気になることご連絡ください。
曜日 | 毎週木曜日のみ |
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受付時間 | 8:00~11:00 ※診察時間は 9:30~ |
医師 | 第1.3.5週 細川 祟 第2.4 上原 秀一郎 |
小児泌尿器疾患
分かりやすい病気の仕組みと治療方法
男の子の包茎
包茎は男の子のお母さんの悩みのひとつです。「うちの子はすごい包茎だけど大丈夫なのかしら?」「将来コンプレックスになったり、いじめの原因になったりしないの?!」「おとうさんに聞いても大丈夫しか言ってくれない」などなど、、、。現代はネットの普及もあり、包茎に対し様々な情報が氾濫しているため正しい情報が伝わりにくくなっています。ご存じのとおり包茎はおちんちんのあたまの部分(亀頭)に皮(包皮)がかぶった状態です。こどものうち(思春期まで)は皮が被っていて当然で、無理に皮を剥く必要はまったくありません。皮がむけないから「皮と亀頭の間に垢がたまってしまって不潔!」などの意見を聞くこともありますが、実際には包皮と亀頭の間にたまる垢(恥垢)は清潔であり、無理にとる必要はありません。むしろ、こどもの皮を無理に剥くことで、皮が裂けて出血したり、裂けた傷からばい菌が入って強い包皮炎(皮が赤く腫れた状態)を起こしてしまうことが多く、その結果、本当に手術が必要な包茎(瘢痕狭窄と言います)になってしまうこともあるのです。こどもの将来のために!と思って無理に皮を剥くとかえって悪い結果になってしまうことがよくあるのです。怖いですね。 そもそも包皮と亀頭の癒着が起こるのは男性ホルモンが少ないためと言われますが、こどものうちは男性ホルモンが少なくてあたりまえですよね?!思春期になって男性ホルモンが十分に分泌されるようになると、自然と剥けるようになるのです。もちろん包茎に対して手術が必要なケースもありますが、近年はステロイド軟こう治療が普及しているため、実際に手術が必要なケースはかなり減ってきました。ただし実際に手術が必要かどうかは、診察しないとわからないことがほとんどです。包茎はもちろんのこと、こどものおちんちんが赤いとか、できものがみえるなど不安なことがあれば小児泌尿器外来で相談してください。時間の許す限り詳しくご説明いたします。
赤ちゃんなのに剥けている?
こどもは包茎で当たり前なのに、うちの子は剥けているけどなぜ?というお母さんの悩みもあります。これは、実は「尿道下裂」「陰茎屈曲症」という病気が隠れていることがありますので注意が必要です。これは先天的な病気なので手術が必要になることが多いです。まずは小児泌尿器外来で相談・診察を受けましょう。
女の子の包茎?(陰唇癒合症)
女の子の小陰唇が癒着して膣口が閉じているようにみえる病気です。これもよくある病気です。以前は外来で、くっついた陰唇をむりやり剥がしていましたが、、、(赤ちゃんが痛みでギャーーっと大泣きするのが当然だった時代です)これも男の子の包茎と考え方は同じで、最近は無理に剥がすことはよくないと言われるようになってきました。無理に剥がすと出血したり、ばい菌がはいったり、剥がしてもまたくっついてしまうことがよくあるのです。これも女性ホルモンが少ないことが原因と言われるようになっており「無理に剥がす必要がない」というのが最近の考え方です。もちろんつっくいていることで膣の中にばい菌が入って感染してしまうこともあり、その際は治療が必要です。陰唇がくっついている範囲が広い(長い)ときは尿もたまりやすいので治療をしたほうがよいという先生もいます。女の子の陰唇がくっついていて、この病気が疑わしいなと感じたらまずは診察をうけましょう。
停留精巣・移動精巣(遊走精巣)
男の子が生まれて、生後3か月、6か月、1歳、3歳、、、と乳幼児検診がはじまりますね。小児科の先生に何か言われないかドキドキしているお母さんも多いでしょう。検診で言われて一番なにそれ???になることが多い病気は「停留精巣の疑い」と言われることです。停留精巣とは男の子の睾丸(精巣)が袋(陰嚢)の中に降りていないで下腹部(鼠径部)に留まっている状態のことをいいます。元来、精巣はお子様がお母さんのおなかの中にいるころに、胎児の腎臓の近くで発生して背中側を陰嚢に向かって降りてくるものなのです。その降りてくる動きが途中でとまってしまったものが停留精巣です。ですからどこまで降りてきたかによって程度がまちまちです。精巣が降りてこない理由は、ホルモンの異常や内分泌かく乱物質の影響などが言われていますが、実際にはわからないことがほとんどです。瀬睾丸が袋のなかにないと何がいけないの?と思うかもしれません。しかし睾丸が陰嚢の中にあることはとても重要です。睾丸の発育には陰嚢の中の環境が最適であり、もし停留精巣のため常に睾丸がおなかの方にあると睾丸の成長が悪くなってしまうのです。そもそも袋がなぜシワシワかというと、表面積を広げて、睾丸を冷やすためなのですね。シワシワの陰嚢内は体温よりも約2~3度低いと言われています。ですから、寒いところにいくと男性の陰嚢はキュッとひきしまって、暖かいお風呂に入ると陰嚢の皮膚がびよーんと伸びるんです。あれは精巣の温度を一定に保つための反応なのですね。陰嚢ってすごいですよね。
【診断について】
停留精巣はよくある病気ですが、実は正確な診断は難しいです。なぜかというと次に説明する移動精巣との鑑別が難しいからなのです、、、、停留精巣と似た病気で、移動精巣(遊走精巣)という病気がありますが、これはいったんしっかりと陰嚢内に降りていた精巣が、精巣を釣り上げている筋肉(精巣挙筋)の収縮によって鼠径部の方にあがってしまうことを言います。移動精巣は治療が必要な「病気」ではなく、様子をみていてよいのです。しかし手術が必要な停留精巣と、様子をみてよい移動精巣の鑑別は熟練の小児科医にとっても極めて難しいです。どれくらい難しいというかというと、最終的な鑑別診断のために、こどもに全身麻酔をかけて精巣挙筋反射を消してしまわないとわからないことがあるほどです!
【治療について】
だれがみても明らかな「停留精巣」の場合は、おそくても2歳までには手術をして精巣を陰嚢内に降ろしてあげることがよいと言われています。
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