糖尿病センター

  • 診療科目
  • 当院における血液透析治療
  • 慢性腎不全について
  • 血液透析
  • CAPD(腹膜透析)
  • 透析療法の選択
  • 血液透析と内シャント
  • 入院維持透析について
  • 最後に

診療科目

当院の透析センターは昭和62年に開設しており、今年で29年になります。現在、透析ベッドは40床で、(月)(水)(金)は3クール、(火)(木)(土)は2クールで透析を行っております。入院施設を併設しておりますので、入院が必要な場合には引き続き当院で治療が継続できます。
当院の特徴は糖尿病センターが併設されているため糖尿病患者様の割合が多く、糖尿病の治療も同時に行うことが可能となっております。
より良い透析を目指しており、透析膜は最も品質の良いものを選択し、水質管理にも心がけております。さらに、透析患者様の合併症の早期発見・早期治療のため、定期的に合併症の検査を全ての患者様に行っております。
各ベッドに液晶テレビが備え付けてありますので、透析中は無料で見ていただくことが出来ます。また、身体が不自由な患者様のために午前中に当院で送迎を行っております。

慢性腎不全という病気を、保存期(腎機能は低下しているが、透析治療を行っていない時下)から導入期(透析治療を開始する時期)、維持透析期(透析治療を続ける時期)に至るまでを総合的に行います。
導入期には患者様と相談し、血液透析、腹膜透析などの治療法を選択して頂きます。透析治療開始後は、合併症を含めた全身管理を十分に行います。また、腎不全治療、透析治療については常に最先端の知識、技術の取得に努め学会、研究会活動への参加を積極的に行っています。
患者様方に安心して透析治療を受けて頂き、十分な社会復帰ができるように他科の医師、看護師、臨床工学士、栄養士、ソーシャルワーカーなどの病院スタッフ全員でバックアップをできるような体制作りをしています。
透析治療を受ける上で、通院困難な場合の入院維持透析についても対応しています。

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当院における血液透析治療

当院の血液透析室は、昭和62年の開設以来長い経験と実績をもっており、現在は外来透析ベッド数は40床となっております。また、月、水、金、は夜間透析(15:30~21:00)を行っております。

慢性腎不全について

人間は栄養を摂取し、生命を維持、活動するためのエネルギーを作り出しています。この時にエネルギーを作り出す過程で、体に不要な毒素が産生されます。この事は自動車がガソリンを燃焼して必要なエネルギーを作り出す際に、有害な排気ガスも同時に作られることの例えられます。この不要な毒素を、体外に排出してくれるのが腎臓です。腎臓は体を維持するためには、有害になる毒素や余分な水分、電解質などを尿に溶かし込んで体外に排出し、生命活動を維持しているのです。
腎臓の働きが低下し、人体に毒素や、水分が排出できなくなってしまうと、適切な治療が行わなければ、全身に様々な尿毒症症状を起こし、心不全などを伴うと、死に至ることもあります。
このような腎不全に対して、血液を清浄化し余分な水分や電解質を調整するために行われるのが透析治療です。透析治療を受けている患者数は年々増加しており、日本透析医学統計調査委員会によると2004年12月31日現在では24万人を超え、さらに今後も毎年1万人以上ずつ増加するものとする予想されています。
慢性腎不全の原因には慢性糸球体腎炎(IgA腎症、巣状糸球体硬化症、膜性腎症など)、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性のう胞腎、慢性腎盂腎炎、急速進行性糸球体腎炎、SLE腎炎など様々な疾患がありますが、年々糖尿病性腎症から腎不全となり透析治療を受けなくてはならない症例数が増加し、全体の40%を超えています。
慢性腎不全では、腎機能は低下していますが、透析治療を行っていない保存期、腎機能が低下し、透析治療を開始しなくてはならない導入期、透析治療を続けなくてはならない維持透析期があります。慢性腎不全は一旦腎機能が低下してしまうと、改善することは困難なため、腎移植または腎臓の働きに変わる方法としての透析治療が必要となります。腎移植は、我が国ではまだまだ症例数は少ない状況のため、殆どの場合は血液透析または腹膜透析治療を生涯、続けなければなりません。

血液透析

当血液透析には、人工腎臓装置であるダイアライザーという濾過フィルターが装着された装置に、手術によって吻合された内シャント血管に穿刺された針から血液を送り、老廃物や余分な水分を除去し、電解質の濃度調節、血液PHの改善を行い、血液を浄化して体内に戻す治療法です。

CAPD(腹膜透析)

腹膜透析は手術によって腹腔内に留置されたカテーテルから、透析液を注入、貯留することで、腹膜の毛細血管を介して老廃物や余分な水分が透析液へ除去され、必要なん物質は血管内へ補充、補正される事により血液の浄化、改善を行う方法です。透析液を1日に4回ほど自分で交換しなくてはいけませんが、1回の交換は約30分で、物品は全て宅配で届き、自宅や職場で交換できるので、病院への通院は月2回程度で済みます。また、透析液の交換を就寝中に自動的に行うAPD、サイクラーを用いる方法もあり、この方法では昼間の交換は1回程度で済みます。腹膜透析は自宅や勤務先、旅行先などでも透析治療ができるので、社会復帰がしやすく、また長時間かけて透析を行うため心、脳血管障害などには非常に有利な方法です。また、透析治療は症例にもよりますが、血液透析から腹膜透析へも、腹膜透析から血液透析へも変更することが可能です。

透析療法の選択

血液透析か腹膜透析を選択するには、それぞれの特徴を良く理解、自分の生活リズムに合わせて選択をしてもらい、それぞれの透析方法を有効に生かしてもらい、十分な社会復帰をしてもらう事が重要です。当院では、様々な透析治療に対応し、その治療法の特徴を生かす事で、患者様の十分な社会復帰ができるような体勢作りをしています。

血液透析と内シャント

血液透析を行う際には、十分な血液(一分間に180~250ml)を体から取り出す必要があります。このためには、シャント手術が必要になります。
シャント(shunt)とは、脇へ逸らす、別の軌道に車両などを入れ換えるという意味です。シャントは一般的には、利き腕と反対側の手首の部分に局所麻酔を用いて、動脈と静脈の吻合(つなぎ合わせ)します。こうする事により、重要な栄養血管である深部にある動脈の強い血流を、体の対面にあり穿刺しやすい静脈に流し込む事で静脈血管は拡張し、これを穿刺する事で血液透析に必要な血流が得られるようになります。これをシャント内といいます。
しかし、シャントを作る際に手術に適した静脈があればいいのですか、無い場合には人工血管を用いたシャントや、動脈の表在化などを行わなくていけません。
内シャントは手術後から徐々に静脈血管が拡張し、血管の壁が厚くなっていきますが、拡張しない部分や、部分的に過剰に血管壁が厚くなってしまう事などで狭窄(狭くなってしまう事)が起こり、進展すると閉塞してしまいます。
閉塞してしまったシャントに対しては、早期であれば、狭窄を先端にバルーンの付いたカテーテルで拡張するというPTA(経皮的血管形成術)を行うことができますが、拡張できない場合は再建術(シャント血管をつなぎ直す手術)が行われます。
シャント血管は、透析患者様にとっては無くてはならないものであり、長期にわたって使用するものなので、可能ならば負担の少ないPTAによる拡張術を、まずは行うことが良いと思います。そのためには、早期にシャント狭窄を発見することが重要となり、透析施行時におけるシャント血流の変化や、シャント音の変化などから狭窄が疑われる場合には、早めにシャント血管造影を行う必要があります。シャント血管造影を行うと、血管の内部の形がレントゲンに写し出され、狭くなっている場所が分かるのです。

入院維持透析について

慢性腎不全という病気は、障害を受けた腎臓の働きが改善することはありません。腎機能を再び取り戻すためには、腎移植が必要となりますが、現在の日本では腎移植はまだまだ少なく、殆どの場合は透析治療を生涯続けることが必要になります。
また、年々透析治療を開始する患者様の高齢化が進んでおり、自宅での介護や病院への通院が、非常に問題となる場合があります。
腹膜透析であれば在宅でも可能ですが、血液透析ですと週に2~3回、一回3~4時間の通院が必要なため、患者様や家族の方々の負担は非常に大きくなります。特に、透析治療を開始して間もない時期には、全身状態が不安定であり、透析中や終了後に体調が悪くなる場合があります。特に高齢者や、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞など他の臓器の病気(合併症)を多く持っている患者様では、頻回に病院への通院そのものが大きな負担となる場合があります。
当院の入院病棟は広々としており、一見病院らしくない落ち着いた雰囲気のため、透析を開始した事など精神的、身体的に大きな負担を背負った患者様にとっては、とても安らぐ環境だと思います。
この様な環境で、医師、看護師、リハビリ担当者と共に治療、到達目標を計画し、十分なリハビリを行って頂いた上で、ご本人やご家族の方と共にソーシャルワーカーと相談しながら、次のステップとしての通院透析などを提案させて頂いています。
また、良好な維持透析を行う上で食事、飲水管理は非常に重要になります。しかし、自己管理が良好にできず、透析中の低血圧によるショック、心不全や高カリウム血症、高リン血症などになる患者様もいます。
当院は生活習慣病に対して積極的に取り組んでおり、このような場合には一定の期間入院をして頂き、医師、看護師、栄養士と共に治療、到達目標を計画し、食事、飲水管理を外来通院でも、良好に行うことができるように指導します。
このように、当院では通院して透析治療を継続する上で、困難になった場合の入院治療に関しても積極的に取り組んでいます。その他、糖尿病や動脈硬化などによる足病変に対しての治療も、担当スタッフを設けてフットセラピーなどを行い、実績を重ねています。
また今後は、透析施行中の原因不明の不快な自覚症状による、いわゆる透析困難などに対しても、緩和医療の観点からの代替医療(マッサージ、気孔、アロマセラピーなど)も取り入れてゆく予定です。

最後に

これからも、学会、研究会活動などに積極的に参加し、最新の透析医療の知識を習得すると同時に、このイムス記念病院の中で、病院スタッフ全員とどのような医療サービスを提供できるかを絶えず考え、実行していきたいと思っています。