VADセンター(血管内留置デバイスセンター)
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FAX 011-640-3256(直通)
担当 地域医療連携室
はじめに
現在、血管内留置デバイス(vascular access device: VAD:末梢ルート、
PICC(末梢挿入型CVカテーテル)、CVカテーテル、CVポート)は日々の診療において、なくてはならない医療デバイスとなっております。
当施設では、消化器内科医である岸宗佑医師をセンター長として、こうしたあらゆる VAD(血管内留置デバイス) を専門的に扱う「VADセンター」を開設するに至りました。
これまでも院内の医療安全を目的に、平成27年9月から岸宗佑医師を責任者として「CVCセンター」を設立し、中心静脈カテーテル留置やCVポート手術の安全な施行に努めて参りました。現在では、院外からもCVポート手術やPICC留置のご紹介を多数頂いており、あらゆるVADに対応する活動を院内、院外を問わず行って参りました。
この度、札幌地域にお住まいの患者様だけでなく、北海道内、道外問わず、VAD(血管内留置デバイス)でお困りの全ての患者様のために、あらゆる VAD を専門的に扱う「VADセンター」として開設致しました。
近年増加の一途をたどるがん患者様に対する安全な化学療法(抗がん剤投与)の目的のため、そして、長期の点滴治療を余儀なくされる患者様のために、CVポートは重要な点滴薬剤投与のためのデバイスとして使用されています。
これまで前胸部で埋設されることが全国的にも多く用いられてきた中、当センターでは上腕への埋設も含め、全ての手術方法に対応しております。
特に、岸医師が考案した上腕に埋設する手術方法(LOVE
surgery)については、外観からは見えない部位へ埋設する方法であり、美容的な側面からも、衣服などの生活スタイルからもメリットがあり、頚部に創部がないため、ネックレスなどの貴金属を使用される患者様についても好評を得ております。また運転をよくされる患者様にとっては、前胸部にCVポートを埋設されると、シートベルトがあたり疼痛の原因となる場合もございますが、上腕への埋設ではこうしたデメリットがありません。乳がん患者様におかれましては、マンモグラフィー検査、エコー検査、MRI検査においても、上腕に埋設することで検査に支障がなく、医学的なメリットもございます。当センターでは、CVポートやPICCが必要となられた、患者様の生活様式や希望をお聞きし、患者様の「人生・生活」を第一とした処置を心がけております。
がん患者様におかれましては、化学療法レジメン(抗がん剤の種類や投与時間など)ごとに、最適な埋設部位は異なると考えております。
具体的には、病院にて数時間で点滴治療が終了する治療方法や、抗がん剤が入ったポンプを持ち帰り3日程度継続される点滴治療など、治療方法は様々ございます。
病院や自宅で治療されている間の過ごし方、治療していない時の日常生活での過ごし方、病院で看護師が抜針するか、御自身が自宅で抜針されるか、うつ伏せでの内視鏡処置(ERCP等)を頻回にされるかどうかなど、患者様ごとに状況が異なるため患者様一人一人に適した手術を行っています。
患者様の生活様式、運転されるか否か、ネックレスなどを身に着けるか、美容の観点も含め、医学的な治療の目的のみならず、患者様の様々な希望も考慮して、総合的に取り組んでいます。
CVポート手術については、あらゆる手術方法に対応したCVポート埋設術を行っております。
「CVポートが必要と言われたら」
「化学療法が必要と言われたら」
「持続的な点滴治療が必要と言われたら」
まず、当センターへご連絡ください。御希望に沿ったCVポート手術をご提供致します。
CVポートとは
CVポートは、中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。その名前のとおり、皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用します。
CVポートは、100円硬貨程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されています。通常は、頚部や鎖骨の下の血管からカテーテルをいれ、右または左の胸の皮膚の下に埋め込みます。また状態によって腕に埋め込むこともあります。カテーテルの先端は、心臓近くの太い血管に留置されます。
体の中に埋め込みますので、外からはほとんど目立ちません。ただし、CVポートを体に埋め込みますので、小手術を必要とします。
CVポートには、セプタムと呼ばれる圧縮されたシリコーンゴムがあります。ここに専用の針を刺して薬剤を投与します。薬剤はこのCVポートとカテーテルを通って、血管内に投与されます。
当院で採用している「パワーポート」と「パワーポートスリム(上腕用)」です。いずれも、急速注入や造影CT、輸血、採血が可能なCVポートです。
PICCとは
PICC(ピック)は、腕から挿入する中心静脈カテーテルです。他の中心静脈カテーテルと比較して、腕から比較的簡単に挿入でき、挿入後の感染などのリスクも少ないのが特徴です。また管理方法によっては長期間にわたって使用できるカテーテルです。
当院で採用している「パワーPICC」です。
急速注入や造影CT、輸血、採血が可能なPICCです。
患者様へ
患者様の「人生、生活」を第一としたCVポート埋設を心がけ、処置を行っております。
これまで頻用されてきた中心静脈栄養(TPN :Total Parentai Nutrition)だけでなく、近年栄養管理法の一つとして静脈栄養を併用した栄養管理(SPN: supplemental parental
nutrition)が注目されておりますが、感染リスクが低い血管内留置デバイス(VAD:PICC や CVポート)を選択する必要があります。
当センターでは、「食べるための静脈栄養」として「食べるためのCVポート」、「食べるための PICC」の活動を行っております。
安全な静脈栄養を行いながら、嚥下内視鏡を含めた嚥下評価を併用し、摂食嚥下リハビリを行うことにも力を入れております。
治療やリハビリが長期となる場合には、近隣の長期入院が可能な病院、施設へと連携して治療継続を行っています。
また、他院にて誤嚥性肺炎などの治療のため、治療開始にあたり、PICC や CVポートが必要な場合には、そうしたカテーテル処置だけでも対応しております。
医療安全の上でも、中心静脈カテーテルについては、これまで多用されてきたCVカテーテルではなく、PICCによる代替が求められておりますが、あらゆる血管内留置デバイス(VAD)
を1施設のみで対応することは厳しいとの声も頂き、今回、血管内留置デバイス(VAD) の専門センターとして開設するに至りました。
末梢ルートが取りにくいということでお困りの症例から、長期CVカテーテル留置によるカテーテル感染でお困りである御施設様など、PICC やCVポートなど、あらゆるカテーテルに対応致します。
すでに前胸部に埋設されたCVポートに御満足いかず、上腕への埋設を希望される患者様についても対応しております。
化学療法が必要になったがん患者様から、点滴が必要となるあらゆる患者様まで、カテーテルに関するどんな希望でも構いませんので、まずはお気軽にご連絡ください。
医師紹介
氏名 | 岸 宗佑(きし そうすけ) 医長 VADセンター長 NST委員長 消化器内科医師 |
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学会認定資格 所属学会 |
医学博士 臨床研修医指導医 日本内科学会 認定医 指導医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本胆道学会 指導医(内視鏡治療,経皮経肝的治療,癌薬物治療) 日本膵臓学会 指導医(膵炎治療,内視鏡診断治療,癌薬物治療,緩和治療) 日本乳癌学会 乳腺認定医 マンモグラフィー読影認定医 AS判定 日本臨床細胞学会 細胞診 専門医 指導医 日本病院総合診療医学会 認定医・指導医・評議員 JPTEC/AHA-BLS/AHA-ACLS provider 日本救急医学会 ICLSインストラクター 日本DMAT隊員 日本静脈学会 弾性ストッキングコンダクター 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 認定士 JSPEN 日本臨床栄養代謝学会 学術評議員 支部世話人 PDN (Patient Doctors Network) 理事 日本VADコンソーシアム 評議員 香川大学医学部 非常勤講師 |
学会・論文
全国学会
- 岸 宗佑
座長・司会
- 岸 宗佑:座長 第18回日本病院総合診療学会学術総会. 沖縄,2019
- 岸 宗佑:座長 第118回日本消化器内視鏡学会,札幌,2019
論文
雑誌名 | 日本病院総合診療医学会雑誌 |
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発刊月 | 2018年9月 |
巻 号 | 第14巻 第5号 |
論文名 | 脂肪乳剤を側管投与する場合にPICC及びCVポートが乳化粒子の粗大化に及ぼす影響の検討 Influence of PICC and CV port on the coarsening of emulsified particles when a lipid emulsion is administered as a piggyback infusion |
著 者 | 岸宗佑、岡村直耶、野村友祐、二川憲昭、豊川揚也、大和孝江、丹野誠志 |